春季新潟県大会優勝校で第1シード帝京長岡が、初戦2回戦で新発田農に10-2で7回コールド勝ちした。

1-0の5回表無死二、三塁、3番浮ケ谷航平三塁手(3年)が高校通算23号の3ラン本塁打を左翼に放ち、チームを乗せた。元日本ハム投手、芝草宇宙監督(53)率いるチームは昨夏県準優勝を超えて悲願の甲子園初出場へ好発進した。

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手応えは十分だった。浮ケ谷が豪快なスイングでとらえた打球は両翼98メートルの悠久山野球場の左翼席後方の壁を直撃した。「高めの甘い球をたたけた」。5回表無死、二、三塁。帝京長岡打線は新発田農の先発、村山朝陽投手(1年)のスローボールを打ちあぐね4回まで1得点。重くなりかけていたベンチの空気を、この一打が変えた。

高校通算23本目で公式戦は4本目。1、2打席目も大きな当たりの中飛、左飛だったが、ひと伸び欠いていた。3打席目、たたきつけるイメージでスイングを繰り返し打席に入った。「それまでタイミングが合っていなかった。緩い球を思いきり打っても飛ばない」。落ち着いて修正し、期待に応えてみせた。

打線に火がついた。6回は2安打で1点、7回は敵失に盗塁と3安打を絡めて5点。第1シードで迎えた今大会、注目度も高く初戦の緊張もあった。主砲の本塁打がそんな硬さを振り払い、ナインを乗せた。

芝草宇宙監督(53)は「選手には初回からプレッシャーを与えた」と言う。序盤でスタメン2人を交代。「うちは全員野球。練習してきたことを出せなければ、ほかの選手のチャンス」と初戦から厳しい姿勢を貫いた。

昨夏は本格派、茨木秀俊(阪神)を擁し同校初の準優勝も、決勝では日本文理に延長11回、1-2でサヨナラ負けした悔しさが大きかった。現メンバーには浮ケ谷ら7人が残る。頂点に立つ難しさは知っている。「ここからもっと質の高い野球をしていく」。浮ケ谷は気を引き締めた。【斎藤慎一郎】

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