長浜北星に「福」は訪れなかった。

今チームでは初めて単独チームで公式戦に参加したが、初戦でコールド負けした。

「9番右翼」で出場した中嶋笑寿外野手(2年)は泣き崩れる仲間の横で、涙をこらえていた。泣くわけにはいかない。名前の読みは「えびす」だ。

「笑う門には福来たる、と両親から言われています。笑顔は、福や友だちをたくさん呼んでくれる。いつも笑っている子でいてほしいという願いを込めてつけてくれたそうです」

この名前で嫌な思いをしたことは全くないと言い切った。仲間や先輩からは「えびさん」「えびちゃん」と呼ばれ、年配の先生からも「えびっさん」と呼ばれるほど慕われてきた。

「だからいつも笑ってプレーしたいと思っています」と、ほおを緩めた。先頭打者だった3回の第1打席。劣勢の展開を打破しようと、思いつきで、天に向かって人さし指を突き上げてから打席に入った。「点を取られていたので、絶対に取り返したい、空気を変えたい。絶対に打ったるという気持ちが出ちゃいました。こういうキャラなんです」。小さなムードメーカーは頭をかいた。5回の第2打席ではしぶとく右前打を放ち、塁上で笑った。

1年生が6人入ってようやくチームが本格的に動き出した。今年3月までは部員8人。その分、3年生5人とは家族のような濃い付き合いをしてきた。

「後ろで守っていて、すごく頼もしい先輩でした。これで抜けてしまうのは本当に悲しい。先輩に学んだことは楽しく野球をやること。みんな、どんなときもとてもポジティブでした。負けていても、ひっくり返す試合もありました。すごいと思っていました」

新チームは9人ちょうどでスタートする。福が来るようにと名付けてくれた両親、そして大好きな先輩たちのためにも、笑顔あふれる野球を貫くつもりだ。【柏原誠】

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