初戦突破を狙った石部だったが、強豪・綾羽の壁は厚く、5回コールド負けを喫した。
エース右腕の中井翔太投手(3年生)は、最後まで全力を注いだ。生まれつき、骨が溶けるなどする「ランゲルハンス細胞組織球症」などの難病を抱えながら、背番号1を背負って先発出場。打者3人に対し、2安打2失点でマウンドを降りたが、その後はベンチで積極的に声を出し、チームを鼓舞した。
試合後、中井は「3年間つらいこともありましたけど、楽しく野球をすることができました。支えてくれた周りのおかげだと思いますし、感謝しかないです。背番号1は、もらってうれしかったです」と語った。
誰よりも信頼されるエースだった。病気の影響で右足首、右ひざなどに痛みを抱えながらだったが、選手全員で夏の初戦の先発に指名。2番手としてマウンドを受け継いだ尾曲理公(りく)投手(3年)が「中井はチームの中心的な存在ですし、中井がいたからこそ今のチームがあると思っています。感謝しかないです」と言うと、チームを率いた八野知春監督も「なかなかうまく練習できない中で、出来ることをひとつひとつ積み重ねている姿が見受けられましたし、この夏の最初は中井で行こう、後輩も含めて全員と決めました」とその存在の大きさを説明した。
病気の治療などもあり、なかなか皆と同じように毎日練習ができなかった。ただ、くじけそうになりながらも真っ先に感じたのが「みんなと野球がしたい」という気持ち。動けない時はランナーコーチを引き受け、周りのサポートをしながら、仲間の頑張りを見ることで自分自身も勇気をもらっていた。
野球を通して多くのことを学んだ3年間だった。この経験を持って次のステージへ。「これまで周りの人に支えられてきたので、次は僕が周りを支えられるようにしたいですし、同じ病気などで悩んでいる人を勇気づけられたらと思います」と前を向いた。

