花巻東(岩手)が智弁学園(奈良)に競り勝ち、10年ぶりの8強入りを決めた。先発したサイドスロー左腕、葛西陸投手(2年)が8回1/3を121球の力投で10安打2失点。今大会初先発で堂々の快投劇を演じた。

本来は上手投げも、試合前日16日の練習でまさかの転向を告げられた。佐々木洋監督(48)から「腕を下げてみろ」とサイドスローを勧められた。葛西は「少し器用な方だったので投げて『これならいける』と思いました。自分は上で投げると抜け球が多かった。上からだったら打たれ続けると思った。挑戦でした」。決死の覚悟で本番直前に決断した。練習で捕手に投げ込んだのはたったの約30球程度。ほぼ“ぶっつけ本番”だったが、智弁封じの“秘策”が見事にはまり、10安打を許しながら要所は締めて2失点にまとめた。「怖がらずしっかり投げられました。サイドスローに変更して変化球のキレもよくなった。自信を持って投げられた」としてやったり顔だった。

次戦は19日、昨夏の王者で東北ダービーとなる仙台育英(宮城)と激突する。葛西は「焦らず、しっかり1人1人抑えることを意識したい」と意気込んだ。