甲子園決勝から一夜明け、仙台育英(宮城)の山田脩也主将(3年)は「やり切ったという気持ちが大きい。でもやっぱり最後、優勝手前で負けたことは本当に悔しかった」と振り返った。試合後は甲子園からホテルへと帰るバスの中で、選手1人1人に選手証を手渡しながら「ありがとう」と言葉をかけた。「3年生はこれで1つの区切り」。最後の夏が終わった。

決勝進出を決めたとき、須江航監督(40)が世間に投げかけた「東北6県の皆さんや宮城の皆さん、東北に縁やゆかりのある方は、甲子園の方向にパワーを送ってもらえたら」という一声は一塁側上空にたくさんのパワーを集めた。「ドラゴンボール」(作者・鳥山明)に出てくる孫悟空の必殺技「元気玉」になぞらえて、決勝戦前にはナインが空に手を掲げる一幕も。山田は「アルプススタンドだけではなく、内野席もいろんな応援を一緒にしていただけた。宮城や東北と、一体になって戦っているなと感じました」。パワーは選手たちに届いていた。「しっかり胸を張って帰りたい」と山田。夏連覇こそ果たせなかったが、一番長い夏を過ごしたことに変わりはない。仙台育英ナインは、胸を張って帰途につく。