星稜(北信越・石川)が16安打、15得点の猛攻で5回コールド勝ちした。

元ヤンキース松井秀喜外野手(49)を擁した91年以来の優勝に王手をかけた。

4回。主将の芦硲(あしさこ)晃太外野手(2年)はバットを高く掲げたまま走り出した。打球は右翼ポールの上部に勢いよく当たってはね返った。点差を12点まで広げる2ラン。今大会、高校の部では初のコールド試合を導いた。

初回には先制の右越え二塁打。2回は中前2点打、3回は右前適時打。バットを振るたびに得点を生み出し、4安打6打点と大暴れ。3番打者は「(本塁打は)しっかりとらえられた。入ってくれて良かったです。今日は感覚がよく、タイミングが合っていました」と会心の笑みを見せた。

今夏の甲子園。初戦の創成館(長崎)戦に代打で登場。甲子園初打席で、右翼ポールの上を通過してファウルになる「幻の本塁打」を放っていた。今度はしっかりポールに当てた。

U12(12歳以下)日本代表では元巨人の仁志敏久監督のもとで活躍した。当時教わった準備の大切さと、考えて野球をすることが、芦硲の基礎になった。主将に立候補した新チームでも、野球への高い意識が生きている。指導者に頼らずチームの強化を進め、今大会も相手対策は芦硲を中心に選手だけで行っている。

父太輔(だいすけ)さん(44)は天理(奈良)の「1番二塁」で97年センバツ優勝に貢献した。来春のセンバツで父に肩を並べる目標があるが、それより先に秋の王座が手の届くところに来た。「高校生になって、お父さんのすごさを改めて感じています。お父さんを抜かしたいです。ここで勝ち切らないと意味がない。今日は今日なので、明日に切り替えます」。作新学院(関東・栃木)との決勝に目を向けた。