第96回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)の出場校による甲子園練習2日目が14日、行われた。大会6日目の23日に登場する日本航空石川は、能登半島地震で被災した福森誠也投手(3年)が甲子園のマウンドに立った。常総学院(茨城)との初戦は、石川・輪島市で被災した祖母も駆けつける予定だ。

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甲子園で祖母と再会する。福森は「すごく楽しかったです」と聖地の黒土を踏んだ。ブルペンも含めて10球ほど力強く投げ込んだ。

元日の帰省時。石川・輪島市にある祖母宅で被災した。地震発生直後、祖母の早瀬舞子さん(66)をおぶって津波から逃げた。1週間ほど七尾市の避難所で過ごした。一時は野球どころではなかったが、「精いっぱいがんばってこい」と送り出してくれた祖母の言葉を胸に、練習拠点先の山梨で野球と向き合った。

あれから約2カ月。昨秋から頭角を現していた福森は、入学後初めてベンチ入りし背番号19をもらった。祖母に甲子園メンバー入りを電話で告げた時は泣いて喜んでくれた。家具の倒壊で腰部を骨折した舞子さんは、つえをついて歩けるようになり、七尾市の避難所から、甲子園に観戦に来てくれる予定だ。「今までやってきたことを信じて甲子園を楽しんで欲しい」とエールをもらった。

甲子園練習の前日。選手全員でツバに「笑顔、感謝、恩返し。石川県のために共にがんばろう石川」と油性マジックで書いた。毎日話し合いを重ねて決めたチームスローガン。「ピンチの時にこれを見て。勇気づけるじゃないですけど。自分たちが胸に思っている言葉です」。故郷のために腕を振る。【佐瀬百合子】

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