八戸学院光星(青森)が関東第一(東京)との開幕戦をタイブレークの末制し8年ぶりのセンバツ勝利を挙げた。同校は甲子園通算春夏35勝目。今春から導入された低反発バットの影響か1点を争うローススコアの接戦となったが5-3で競り勝った。

   ◇   ◇   ◇

甲子園初打席でヒーローになった。9回裏から途中出場の萩原涼太が、延長タイブレークの11回1死二、三塁で打席に立った。カウント1-1から狙い澄ましたフォークを振り抜くと、打球は一、二塁間を抜けていった。勝ち越しの右前適時打。一塁側アルプス席からの大歓声を浴びながら、手を思い切りたたいて喜んだ。

プレーボールの合図からうずうずしていた。昨夏の甲子園では、8強まで勝ち上がったチームをスタンドで観戦。「自分もここに立ちたいな」。新チーム始動後も出場機会に恵まれず、出場は昨秋の東北大会決勝での代打のみ。その打席も三振に終わった。「それを見返すつもりでやってきました」。冬場はミート力を上げるため、1日100回バットを振り込んだ。初スイングでの決勝打は、努力のたまもの。「面白くて、楽しかったなと思ってます」。すがすがしい表情でお立ち台に登った。

「面白い」が原動力だ。小学校で野球を辞めようと思っていたが、最後の大会でホームラン。「やっぱり野球楽しいなって思えた」。野球を楽しみながら続けてきた先に、聖地でヒーローになる未来の自分がいた。「ここまで来られてよかった」とかみしめた。

将来の夢は、高校野球の指導者だ。この日のタイブレークで「もっと面白いと思えるようになりました」。夢への意欲は高まるばかりだが、今は来たるべき出番に向けて集中する。「次の試合もここぞという場面で任されていると思っているので、ここぞという一打で決められるように打ちたい」。勝利の立役者となったスーパーサブが、次戦も戦況を見つめながらチームを救う。【濱本神威】