日本航空石川のアルプススタンドで近江(滋賀)の吹奏楽部が合同で演奏を行った。

両校関係者がカンボジアでボランティア活動をしていた縁で近江から友情応援を申し出た。日本航空石川の吹奏楽部長の九尾(くお)結月さん(3年)は石川県輪島市出身。能登半島地震では激震に見舞われた。「最初の2、3日は飲まず食わずでした」と1週間避難所で生活し、その後に金沢市内の親戚宅に避難した。近江の応援には「近江高校さんは迫力がすごくて、とても心強い」と笑顔。甲子園での演奏には「こんな会場で応援させていただけるのは感謝している。選手が頑張れる演奏をしたい」と精いっぱいエールを送った。

大会前に両校吹奏楽部が集まって2度合同練習を行って調整。その際に近江の吹奏楽部長、三国萌桃乃さん(3年)は練習着がばらばらだったことに気づき、「2カ月くらいたったのに家に帰れていないことを聞いた」と衝撃を受けた。アルプスでの合同演奏で「被災して来られない人もいる。その方の分も全力で応援したい。自分たちの音色で少しでも笑顔になってくれればいい」と思いを込めた。

日本航空石川は11人、近江は61人の計72人の吹奏楽部がグラウンドの日本航空石川ナインに演奏を届けた。「浪漫飛行」や近江のチャンステーマ「ファイアボール」など息ぴったりな演奏を披露して選手を後押しした。