昨年の王者、山梨学院は連覇を逃した。

エース・桜田隆誠投手(3年)は、左手指のマメをつぶした先発の津島悠翔投手(2年)に代わり、5回途中からマウンドに上がった。「変化球でカウントをとれたんですが、決め球が決まらなかった」と、3回1/3を5安打2失点。「まだ諦めない気持ちで。ここから粘ってと思っていたんですが…」と肩を落とした。

大会直前、インフルエンザにかかり、調整が遅れた。急きょ津島がメンバー入りし初戦、2回戦と先発し勝ち進んだ。「制球が持ち味なのに、そこが全然もどらなくて。体調を崩した自分が悪い。そこは切り替えて少しでもチームに貢献できるように、と思ってやっていました」。しかし、本来の投球ができないままに、春のセンバツを終えた。

中学の卒業式、全校生徒と保護者の前で「両親へ、野球の練習にずっと送り迎えしてくれてありがとう。僕が必ず、甲子園につれて行きます」と、スピーチした。アルプスでは母・佳子さん(52)が「有言実行してくれた。それがうれしい」と、見守った。

「また戻って来られるようにやっていきたいです」と桜田。有言実行の男の目は、すでに夏の舞台を見つめている。【保坂淑子】