伝説のDNAが名門に注入される。甲子園で春夏通算5度の優勝を誇る横浜(神奈川)が5日、入学式を行った。

古畑雄大内野手(1年)は「数々の歴史がある横浜高校で野球ができるのは本当に幸せです。これからの3年間、楽しみです」と15歳とは思えないバリトンボイスを響かせた。

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松坂大輔投手を擁し、同校が春夏連覇した98年。語り継がれる夏の甲子園準々決勝、延長17回に及ぶPL学園(大阪)との激闘で、PL学園の4番を打ったのが古畑の父和彦さん(43)だった。何度も映像を見てきた。

「何回見たかも覚えてないです。つい最近も、おとといも見ました。YouTubeを見ていると野球関連で出てくるんです、もう勝手に」

そういうレベルで目に焼き付けてきた。スタメンも分かるし、お気に入りの場面もある。

「延長11回に横浜が1点取って、PLがその裏で返すんですよ。確か大西さんがレフト前に打って、平石さんが生還して。その場面が。横浜が突き放した時にPLが追いつくっていう、あの場面はめちゃくちゃしびれました」

父の姿ももちろん。

「4番で、松坂さんもギア上げてくると思うので。どうしても松坂さんも厳しいボールを投げるんで、お父さんは完全に抑えられたというか。4番に対する気持ちというか攻め方とか、そういうのを松坂さんから感じました」

そんな父に教わって、豪快なスイングにも面影がある。PL学園は野球部が休部中。横浜進学の決意に父は喜んでいたという。父と同じ「4番三塁」の座を目指し「高卒でプロへ行きたいです」。伝説の一戦から9360日。入学式の日に志を口にした。

体重90キロの恵まれた体格を生かしたフルスイングで、早くも名門で存在感を示しそうだ。父を通じ、松坂氏からグラブも贈られた。「感謝しかないです。お守りにして松坂さんたち以来の春夏連覇を達成したいです」と鼻息も荒い。そして「甲子園でホームランを打ちたいです」と夢見る。低反発バット時代、楽しみなスラッガーが高校野球に挑む。【金子真仁】

◆古畑雄大(ふるはた・ゆうだい) 2008年7月18日、東京・江東区生まれ。深川ジャイアンツで野球を始め、小6ではヤクルトジュニアに選出。神宮球場で2本塁打した。中学時代は東練馬シニアでプレーし、中学通算24本塁打。178センチ、90キロ。右投げ右打ち。家族は両親、弟。