京都大会で立命館宇治が2年ぶり夏の甲子園に向けて初戦を突破した。「バセドー病」と向き合う主将の伊藤央太捕手(3年)が3打数2安打2打点と活躍。今春の府大会4強城南菱創を9-0の7回コールドで下した。昨夏はスタンドからチームの敗戦を見届けた主将が、この夏に全てをぶつける。
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自慢の打線が本領を発揮した。序盤から徐々に点数を積み重ね、6回に爆発。主将で4番の伊藤は6回1死一、二塁から左越えの2点適時二塁打。夏の初戦で3打数2安打を記録した。チームも先発全員安打の15安打9得点の7回コールド勝ち。伊藤は「いい試合運びができた」と笑顔で振り返った。
病が襲ったのは、2年を迎えた春だった。体に突如異変が起こった。いつも通りの食事をしても体重が減りやすくなり、疲労が抜けなくなっていった。受診した病院で「バセドー病」と医師に告げられ、3カ月運動を禁止。これから夏を迎えるチームでバットもミットも持つことができなかった。
夏2連覇に挑んだ昨夏の大会はベンチ外。無得点で敗れた龍谷大平安との試合をスタンドから見ることしかできなかった。しかし、伊藤は諦めなかった。自身の体と向き合い秋季大会には出場できるまでに回復。夏に敗戦をスタンドから見るしかなかった龍谷大平安相手に見事決勝打を放ち、府王者となった。
昨夏の悔しさから今夏にかける思いは人一倍強い。マスクをかぶっても先発道勇壱心(どうゆう・かずむね)投手(3年)の長身を生かした直球とスライダーを武器に見事配球を組み立てた。試合後は「初戦の入りを大事にしていた。全員で勝つことができた」と勝利をかみしめた。
伊藤の母あすかさんは「ただみんなに助けられてやっている。普段はズボラだけど野球は真面目。1つ1つ前の試合に勝ってもらいたい」と息子にエールを送った。昨夏の忘れ物を取り返しに行くべく、伊藤がチームをけん引する。【佐藤奨真】
◆伊藤央太(いとう・おうた)2007年(平19)5月14日生まれ、大阪府高槻市出身。小学4年から野球を始める。中学では北摂シニアでプレー。立命館宇治では1年夏からベンチ入り。168センチ、78キロ。右投げ左打ち。
◆バセドー病 甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる甲状腺機能亢進(こうしん)症の1つ。代表的症状は「甲状腺の腫大」「眼球突出」「動悸(どうき)」「倦怠(けんたい)感」「発汗」「頻脈」等々。

