<高校野球岩手大会:花巻東5-0盛岡三>◇24日◇決勝

 東日本大震災で被害が大きかった東北3県で最初の代表校が決まった。

 岩手大会決勝で、花巻東が盛岡三を、2年ぶり6度目の夏の甲子園大会出場を決めた。菊池倭主将(18)は「岩手の代表として日本一を目指したい」と被災地の希望になることを誓った。

 花巻東は菊池雄星投手(現西武)を擁した2009年春の選抜大会で準優勝。同年の夏にベスト4に入った。私学の強豪だが、約100人の部員の大半は岩手県内出身者が占める。津波で大きな被害を受けた沿岸部から来た選手も数多い。

 岩手県大槌町出身の佐々木隆貴(17)は捕手としてチームを引っ張った。佐々木洋監督(35)は「被災した生徒が一番強かったと思う」と感慨深げ。菊池主将は「苦しい部分を出さずに、笑顔で野球を楽しんでいた。だから周りも変に気を使わなかった」と震災からの4カ月半を振り返った。

 佐々木監督は4月下旬、選手を連れて沿岸部を訪れている。内陸の花巻では分かりづらい地元岩手の惨状を、選手の目に焼き付けるためだ。同監督は「特別な年で、特別な思いがあった。花巻東ではなく岩手のチームとして、岩手の底力を見せる」と甲子園大会を見据えた。