<高校野球西東京大会:立川10-0翔陽>◇13日◇1回戦

 有名人との同姓同名球児が、名前負けしない活躍を見せた。プロゴルファー石川遼とまったく同じ名前を持つ立川の石川遼内野手(3年)が、ひと振りでチームを勝利に導いた。翔陽戦の1回、右中間への適時三塁打で先制点をたたき出すと、6回にはサヨナラコールドのホームを踏んだ。ゴルフの遼君にも見劣りしないスマイルも魅力。常に笑顔の「ニコニコ王子」が、チームの快勝に「快笑」を見せた。

 鮮やかなグリーン上でなくても、遼君スマイルはまぶしかった。1回1死二塁。立川の絶好機で、打席に立ったのはその名も「石川遼」だ。「初球に変化球が多いのをデータで知っていました」。狙い通りに来た初球に、ドライバー…ではなくバットを振り抜く。右中間を深々と破る先制の一撃に、塁上で笑顔のガッツポーズを見せた。

 偶然にも、誰もが知るゴルファーと同姓同名。両親が調べた姓名判断では、出世運など数々の項目が二重丸だったという「持ってる名前」だ。応援席で見守った父浩さん(44)は「『遼』は『はるか』とも読める。スケールの大きな子になって欲しくて」と説明した。「世界へ大きく羽ばたいて欲しい」というゴルフの石川と、同じ理由だ。ちなみに母ひとみさん(44)も元アイドルと同じ名前。「『なんちゃって家族』と呼ばれています」と笑った。

 ゴルフの遼君が、アマながらプロの大会に初優勝したのが07年。当時中2だった石川の人生も、少しだけ変わった。友人にはわざとフルネームで呼ばれることも。人にはすぐ名前を覚えられるようになった。「テレビで遼君を見ていると、人との触れ合い方、対応の仕方は参考になります」。競技は違えど、人生の先輩としてかがみにしている。

 積極的な打撃だけでなく、ハニカミ王子に負けないスマイルも魅力だ。チームは、苦しいときも笑顔でプレーする「常笑軍団」がテーマ。石川も、人と話すときには笑顔を意識する。試合後、応援に来たOBから声を掛けられた。「ナイス・ホールインワン!」。石川が、満面の笑みで応えた。【森本隆】