夏の甲子園で計3勝した聖光学院(福島)の歳内宏明投手(3年)が9日、プロ志望届を提出した。県高野連を通じて日本高野連が受理。小学生の時からプロを夢見てきた歳内は「12球団OK」の姿勢を表明し、代名詞の魔球「スプリット・フィンガード・ファストボール」については「プロでも絶対に負けない球にしたい」と追求する構えを見せた。今夏の甲子園で3本塁打を放ち準優勝に導いた光星学院(青森)の川上竜平中堅手(3年)もこの日、プロ志望届を提出した。

 歳内が、正式にプロへの扉を開いた。直筆の志望届をこの日、斎藤智也監督(48)が県高野連の宗像治理事長(58)に提出。日本高野連にファクスで転送され、受理された。早くも3球団から調査書の提出依頼が届く注目度だが、歳内は普段通り冷静だった。

 歳内

 まだ提出しただけなんで、特に。プロに入れるかも分かりませんし。ただ、自分を評価していただける球団なら、どこでも。

 穏やかな口調で「12球団OK」の意向を口にした。8強入りした昨夏の甲子園で活躍し「スカウトの方が見に来てくださるようになってから、本気で意識し始めた」というプロの世界。1年後、さらに成長しても純粋なあこがれを持つ。斎藤監督は「普通は評価が上がれば、欲が出るもの。でも、歳内は去年の冬から、どの球団でも、というスタンスのまま」と明かした。

 今月3日まで、日本代表としてAAA選手権に出場し、優勝に貢献した。「AAAでは、ほぼ全員と『プロ志望届は出すの?』とか話してましたね」。同年代のトップクラスと刺激し合う中で、落ちる魔球スプリットへの思いを強くした。

 歳内

 みんなレベルが高く、持ち味があった。プロなら、なおさら。自分も、持ち味(スプリット)を絶対に負けないくらいにレベルアップさせたいと思う。

 福島県の高校から直接プロ入りすれば、96年の相馬・鈴木尚広(巨人4位)以来15年ぶり。甲子園後も週6回、後輩に交じって練習している歳内は「まだまだプロで通用する体になってない。時間はある。もっとレベルアップしなければ」と言った。10・27。魔球使いは貪欲に、運命のドラフト会議を待つ。【木下淳】

 ◆歳内宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日、兵庫県尼崎市生まれ。小園3年の時に猪名川エンジェルスで野球を始め、小園中時代は楽天田中と同じ宝塚ボーイズに所属。聖光学院では1年秋にベンチ入り。2年夏の甲子園から背番号1。今夏の甲子園は2試合で計30奪三振も、2回戦で金沢(石川)に敗れた。家族は両親、弟、妹。182センチ、82キロ。右投げ右打ち。血液型B。