<高校野球静岡大会:島田樟誠10-4静岡南>◇7日◇1回戦◇島田

 中部では島田樟誠が静岡南を逆転し、2年前に続き3地区開幕戦に勝利した。1点ビハインドとなった直後の5回に5番大町悟史外野手(2年)が逆転の2点適時二塁打を放ち、その後も加点。5月に1番前島朋幸内野手(2年)が交通事故で離脱し組み替わった打線が夏に花開いた。

 開始式前の大雨から一転して晴れ渡った島田球場で歓喜の雄たけびを上げたのは地元・島田樟誠だった。12安打10得点で、強打の静岡南に打ち勝った。エネルギー源は、前島からの“メッセージ”だった。

 5月の交通事故から順調に回復し病院で素振りをする写真と手作りのダルマがこの日の朝、チームに届けられた。「前島の分まで」の決意を新たにしたナイン。3回に1死一、三塁で2番浅野勝弘外野手(3年)が1点を先制する二塁打を放った。春は1、4番に座った左打者は「つなぐ気持ちで打った」と振り返った。5回にひっくり返されても直後に大町の逆転打から突き放した。春の6番から5番に上がった大町も「前島の穴は大きいけど、埋められると思った」と話す。前島の離脱が結果として、各打者の新たな能力を引き出すことにつながった。

 1番に入る主将の大友伸久内野手(3年)は7回に初安打。「先頭として打ちたいけど、なかなか打てない」と後輩の存在感を再認識した。それでも、取り返すチャンスはある。15日はシード校市沼津と対戦。「後ろが頼もしいので、自分が出て先制したい」。大友からも新1番の自覚が口をついた。【石原正二郎】