<高校野球大分大会:明豊4-0柳ケ浦>◇16日◇2回戦◇別大興産

 今年の「健太」もやります!

 明豊の2年生エース岡本健太投手が柳ケ浦を6安打完封で3回戦進出を決めた。この夏からエースナンバーを背負った左腕は、公式戦初完投で初完封と圧巻の夏デビュー。3年前、甲子園で8強入りしたときのエース今宮健太(ソフトバンク)と同じ名前を持つエースが2年連続甲子園を目指す。

 この夏初めてのマウンドで、自分を鼓舞するようにガッツポーズを何度も作った。最後の打者を打ち取って完封勝利を決めると、明豊のエース岡本は、この日一番のガッツポーズで締めくくった。

 エースとして任された初の先発は心臓が飛び出そうだった。「先輩たちの夏を終わらせるわけにはいかないので気持ちで投げました」。試合前のブルペンでは緊張のあまり周囲の先輩から「緊張せんでも大丈夫」と声をかけられたほど。立ち上がりこそ制球が不安定だったが、立ち直った3回以降は散発3安打。チェンジアップとスライダーを効果的に使い、5回以降は二塁も踏ませなかった。公式戦初完封どころか完投すら初。エースとして最高の働きができた。

 昨夏の甲子園以降、チームは勝ち上がれなかった。昨秋の県大会は3回戦、春も準々決勝で敗退。夏の前哨戦となる5月の大分県選手権は地区大会どまりで本戦に進めず、夏は9年ぶりにシードを手放した。「秋や春は投手が崩れて負けてしまった。夏はしっかりしなければと思いました」。6月以降は夏のスタミナづくりに毎日、練習前と後に100メートルダッシュを50本ずつこなした。この日は最高気温32度の中で123球を投げたが「暑さには自信があります」と涼しい顔だ。

 3年前、甲子園8強に導いた大悟法久志元監督が昨秋、急逝。岡本は直接指導を受けてはいないが、そのときの先輩の精神は受け継がれている。3年前のエース今宮と同じ「健太」の名前を持つ左腕が、先輩の後を追って甲子園を目指す。【前田泰子】

 ◆岡本健太(おかもと・けんた)1996年(平8)1月24日、大分県別府市生まれ。朝日小2年のとき「朝日少年野球部」で野球を始め、明豊中では3年のときエースとして九州大会優勝。高校では1年秋からベンチ入り。好きな投手はオリオールズ和田。174センチ、65キロ。左投げ左打ち。