<高校野球兵庫大会:関西学院4-0西宮北>◇21日◇4回戦◇明石トーカロ

 「神の子」がランニングホームラン!

 阪神八木裕育成チーフコーチ(47)の長男、関西学院・八木亮介外野手(3年)が西宮北戦でランニング本塁打を含む5打数4安打で勝利に貢献し、16強に進出した。

 神懸かった4安打でチームを16強に導いた。関学・八木が先制ランニングホームランを含む5打数4安打2打点と大暴れ。阪神八木コーチの現役時をほうふつとさせる勝負強さを発揮し、また1歩甲子園に近づいた。

 重い空気を振り払う先制劇だった。6回、先頭で打席に立つとコンパクトにバットを振り抜いた。「いったかなと思った」という手応えとともに全力疾走した。打球は右翼フェンスに直撃。クッションボールの処理にもたつくのを確認すると、一気に二塁ベースを蹴った。ここからギアを上げ、さらにグングン加速。「二塁を回って、コーチャーが腕を回しているのが見えた。一生懸命走りました」。ボールが内野に返球された時にはすでに本塁へ。昨年11月以来、公式戦では初となるランニング本塁打は、高校通算10本目に笑みがこぼれた。7回にも右中間へ適時二塁打した3番打者に、広岡正信監督(58)も「100点に近い働きをしてくれましたね」と称賛した。

 17日の3回戦は5打数無安打。打ち込みたい気持ちを抑えた。中学時代から週3回のペースでバッティングセンターに通っていた。送り迎えをつとめるのは父だ。「振りすぎていたので、今週は前日(20日)の1回だけにした」と回数を減らして挑んだ。そんな姿を黙って見つめる父の期待に応えた。

 甲子園は小学4年のとき、父の引退試合で始球式を務めて踏みしめた。それ以来となる聖地へ。八木の夏が熱くなる。【池本泰尚】