<高校野球福島大会:聖光学院14-2学法石川>◇27日◇決勝◇県営あづま球場

 聖光学院が圧倒的な強さで学法石川を破り、6連覇を達成。9度目の夏の甲子園出場を決めた。センバツ後の公式戦は14戦全勝で、県内連勝を76に伸ばした。無敵の福島王者は悲願の全国制覇を目指す。

 チーム一丸でつかんだ6連覇だ。その思いで、選手は真っ先にスタンドの応援席に走った。網越しに全員がハイタッチで喜びを分かち合う。3安打4打点の長井涼捕手(3年)は「今までサポートしてくれた控え選手を、甲子園練習でグラウンドに立たせてあげられる」と笑顔を見せた。

 今大会初めて先制点を許しても関係なかった。直後の2回に打線が牙をむく。1死二塁から今大会初スタメンの関根涼外野手(3年)が流し打ち。左翼手の頭を越える適時三塁打で同点とした。この回打者10人の猛攻で一挙5点。4回にも6点を奪い勝負を決めた。斎藤智也監督(49)も「集中力が違った。神懸かったように打線がつながったね」と驚くほどの気迫で圧倒した。

 相手のエース対策も万全だった。この日の朝、ベンチ入りの選手は福島市内の宿舎から伊達市のグラウンドに戻った。打撃投手を務めたのは、学法石川・松本匠投手(3年)の武器であるカットボールを持つメンバー外の右投手だった。140キロの直球も攻略するためにマウンドの3メートル前から投げ、イメージを高めた。前日の準決勝前も同じように、光南の佐藤勇投手(3年)対策をして勝利。試合になれば、スタンドでブラスバンドの音をかき消すほどの応援で声をからす。斎藤監督も「(試合に出る選手に)自分たちのために戦うんじゃないと、気づかせてくれた」。控え部員の存在が聖光学院を強くしている。

 センバツで横浜に敗れた後、監督は言い続けた。「春夏連続で甲子園に出ているのは30%だ。なぜかわかるか?」。1度大舞台に立ったことで、気が緩むことは避けたかった。しかし、4回戦でいわき光洋に中盤まで競り合う大苦戦。勝つことが当然のようなプレーに「もう(センバツ出場で)思い出は作れただろ。すぐ負けるよ」。ミーティングで厳しい言葉を浴びせられ、選手は思い出した。「ベンチ入りできなかった選手を泣かせるわけにはいかない」と。準々決勝以降は春の県大会、東北大会を制したスキのない野球を取り戻した。

 6度宙を舞った斎藤監督は「スタートラインに立てた。もう次のことを考えている」と言った。6連覇は通過点でしかない。聖光学院の目指すものは、もっと先にある。【鹿野雄太】

 ◆聖光学院

 1962年(昭37)に聖光学院工業高校として創立した私立校。77年、現校名に改称。79年から男女共学。生徒数は740人(女子168人)。野球部は学校創立と同時に創部。部員数143人。甲子園出場は春3度、夏9度目。OBに阪神歳内。所在地は福島県伊達市六角3。渡辺憲一校長。◆Vへの足跡◆2回戦7-0東日本国際大昌平3回戦5-1安積4回戦9-2いわき光洋準々決勝9-0磐城準決勝4-0光南決勝14-2学法石川