<全国高校野球選手権:仙台育英8-2佐賀北>◇8日◇1回戦

 全国制覇した07年夏以来の出場を果たした佐賀北は仙台育英(宮城)に完敗し、初戦で姿を消した。

 5年ぶりの甲子園はわずか1日で終わった。佐賀北が仙台育英に敗れて初戦で姿を消し、全国制覇した07年の「がばい旋風」の再現はならなかった。

 力でねじふせられた。エース末次慶一郎(3年)は6回まで3失点と粘ったが、7回以降に5失点。「最後まで我慢して投げなければいけなかったのに、ズルズルいかれてしまった。もっと集中力をもって投げなければいけなかった」と末次は悔やんだ。

 5年前に全国制覇したときのエース久保貴大さん(22)が1年の冬にグラウンドを訪れたとき「走者を出しても粘れ」とアドバイスをもらった。「それから自分の投球で粘りを大事にしています」。最速は130キロ台前半。それでも171センチ、60キロと細身ながら夏は53イニング、752球を1人で投げきった。甲子園で14安打8失点と打ち込まれた。それでも「夏は自分1人で投げ抜こう」という誓いどおり、最後までマウンドに立ち続けた。「粘りながらよく投げてくれた」と百崎敏克監督(56)は力投をたたえた。

 先輩には及ばなかったが、新たな甲子園への道を切り開いた。この日の戦いを見た後輩たちが、再び全国の頂点を目指してスタートする。【前田泰子】