<全国高校野球選手権:東海大甲府3-2宇部鴻城>◇19日◇3回戦

 東海大甲府(山梨)が、エース神原(かんばら)友投手(3年)の力投で8年ぶりの準々決勝への進出を決めた。同点の場面で登板し、4回を無失点、自ら決勝ホームを踏んで勝利を引き寄せた。

 エースの仕事だった。2試合連続完投の神原は、同点に追いついた6回から出番だった。「流れをこっちに持ってくるようにテンポよく投げました」と4回3安打無失点の好リリーフ。7回の打席では、遊ゴロ失策から出塁し、内野ゴロの間に生還した。自らの力投で幸運を引き寄せた1点のリードを、最後まで守り抜いた。

 東海大甲府の練習には、投手が内野ノックに入るメニューがある。神原は1学年上の中日高橋周と並んで、長い時は2時間もノックを受けた。地肩を鍛え、下半身の使い方を覚え、フィールディングには自信があった。1点を勝ち越した直後の8回、1死から安打を許した。直後の投ゴロをさばくと、二塁に矢のような送球で悠々と併殺を完成させて、流れを渡さなかった。

 高橋周にも負けなかったのは、ウエートトレーニングだ。背筋を鍛えるデッドリフト。パワーでも規格外だった高橋周は200キロだったが、神原は220キロを持ち上げる。「かなりの量を食べて、重量挙げをやって、筋肉をつけました」と分厚い胸板を張る。昨夏は県大会で敗退。ドラフト1位で指名されたほどの先輩を全国に連れていけなかった悔しさが、原動力になっている。

 8年ぶり進出を決めた準々決勝で、作新学院との対戦が決まった。昨夏ベスト4の相手に「今日みたいなリリーフでも、先発でもいけます。もっと上のレベルとやりたい」と通過点にするつもりだ。【柴田猛夫】