<高校野球和歌山大会:紀北工2-1智弁和歌山>◇20日◇3回戦◇紀三井寺

 9年連続を目指した智弁和歌山の夏が、まさかの3回戦で終わった。和歌山大会で、智弁和歌山が紀北工に惜敗。看板の打線が相手エースをとらえきれず、自校が更新していた地方大会の連続優勝は8で止まった。

 最後の打者、阪本将大内野手(3年)の飛球が、遊撃手のグラブに収まった瞬間、球場は悲鳴まじりのどよめきに包まれた。和歌山大会を8連覇していた智弁和歌山が、紀北工に敗退。3回戦で姿を消した。

 「これが実力でしょう。打てなかった、それだけです」。高嶋仁監督(67)は試合後、そう話し始めた。紀北工の左腕・中井健二投手(3年)の前に、左打者5人を並べた智弁和歌山打線は苦しんだ。27アウト中15個がフライだった。そんな試合を象徴するように、1点を追う最終回も2死満塁と攻めながらフライに泣いた。「あんだけ打ち上げていたらエラーもしてくれないし、何にもならん」と高嶋監督。チャンスは作っても、得点につながらなかった。

 4回に失策が絡み先制点を許した。さらに5回には、紀北工の7番堀田に本塁打で2点差をつけられた。次第に智弁和歌山に焦りが見え始めた。「負けることは頭になかった」とエースで4番の吉川雄大投手(3年)は言った。「負けられない」精神的な動揺も重なっていった。

 この日、不振からスタメンを外れた天野康大主将(3年)は、リードされ浮足立つナインに向けて「焦るな!

 今から追いつくぞ!」と、ベンチから声をかけ続けた。しかし、歯車がかみ合わなくなったチームを立て直すことはできなかった。試合後、涙を流し続けた天野主将は「申し訳ないです」と繰り返した。05年から始まった夏の和歌山大会連勝も41でストップ。また新たな挑戦が始まる。【宮崎えり子】