<第95回高校野球選手権大会:甲子園練習>◇3日

 第95回全国高校野球選手権記念大会(8日開幕)に出場する聖光学院(福島)が、甲子園練習を行った。大阪府出身の横水風寅(かずと)外野手(3年)は、打撃練習で柵越えの打球を放った。大会NO・1打者の大阪桐蔭・森友哉(3年)とは、中学時代に所属した堺ビッグボーイズでチームメート。「自分が成長した姿を見せたい」と燃えている。

 甲高い打球音を残し、白球が右翼ポール際に着弾した。聖光学院・横水の“甲子園初アーチ”に、バックネット裏の高校野球ファンから大きな拍手が湧き起こる。中学まで大阪で育った左の大砲は「(甲子園は)初めてだったので、慣れておこうと思っていた。狙ってはないけど、良い感触で打てました」と、会心の一打を振り返った。

 この夏にかける思いは人一倍強い。今春センバツは、メンバー入り目前で右足首を捻挫して離脱。せっかくの“里帰り”は、ボールボーイという悔しい形で終わった。今春の県大会で公式戦デビューを果たし、ようやくレギュラーに定着した。今夏の福島大会は3割9分1厘の高打率を残しながら「体のキレが出るようにやってきたので、良い感じで振れてきた」。全体練習後に寮の自室で筋力トレを繰り返し、照準を合わせてきた。

 出るだけでは満足できない。堺ビッグボーイズでプレーしていた中学時代、大会NO・1打者の呼び声高い大阪桐蔭・森友を差し置いて4番を任されていた。だが、高校入学後は大きく水をあけられてしまう。昨年の甲子園春夏連覇の中心選手だった森友に対し、ベンチ入りすらできなかった。「森のことはずっと意識しながらやってきた。森に自分が成長した姿を見せたい」。

 正月に帰省した際、森友から言われた。「甲子園、行けるんか?」。“王者”の主将となった球友の何げない言葉は、重くのしかかった。最後の夏。故郷で、そして友の前で、福島で成長した姿を披露する。【今井恵太】