全国高校野球新潟大会(7月10日開幕)の組み合わせ抽選会が27日、90校88チームが参加して新潟市内の新潟テルサで行われた。古豪・新潟商は第4シードで登場。OBの山中政一監督(43)のもと、39年ぶり8回目の甲子園を狙う。開幕戦はハードオフ新潟で新潟と新津南が対戦し、勝者は次戦で3季連続甲子園を狙う日本文理と激突。選手宣誓は高田農の前川峻主将(3年)が務める。

 古豪復活は近い。春4強の新潟商が持ち前のワンチャンス野球で活路を開く。75年に7度目の甲子園に出場して以来、聖地への道は遠かったが、09年秋に同校OBの山中監督(90年卒)が就任。母校を指導する立場になって「新商」の伝統が今の世代にも受け継がれていることを肌で感じた。

 山中監督

 時は流れても、新商野球は変わってなかった。バントで送ってワンヒットで得点するには、打球の方向確認や走者の連係が必要。シンプルだが、実際にやると難しい。点をとるための要素が凝縮されている。

 山中監督は就任直後から理想の野球を貫くため、あらゆるパターンを想定したケース打撃に時間を割いた。昨秋の県大会1回戦で高田商に延長負けしたのを機に、メンタルトレーニングも導入した。「競り合いを制するには精神面の安定が必要」。12月からは1週間単位で「トレーニング、生活、学習面」3項目の目標を選手に立てさせた。70日間毎日チェックさせることで責任感と達成感を持たせ、集中力を引き出すのが狙いだった。

 春の県大会では早速、効果が出た。三条との4回戦。184センチのエース佐藤睦投手(2年)が3度のリードを追いつかれながらも、延長15回を4失点、230球を投げきった。翌日の再試合は1-1の9回2死から2連打でサヨナラ勝ち。武田孝太主将(3年)は「点を取られても集中力を切らさなかった。簡単な目標から達成することで、自信につながった」と精神面での手応えをつかんだ。

 第4シードで迎える夏は、新潟江南と新潟青陵の勝者と対戦する。山中監督の最高成績は12年夏の8強。「自分からやる点数をなくし、数少ないチャンスをものにできれば。母校で甲子園は夢。何とか果たしたい」。山中監督の言葉に力がこもった。心身ともに研ぎ澄まされた新潟商が39年ぶりに、重い夏の扉をこじ開ける。【高橋洋平】

 ◆山中政一(やまなか・まさいち)1971年(昭46)6月18日生まれ、新潟市出身。新潟商では内野手で、2年時に夏8強。大産大ではプレーせず、4年間新聞奨学生を続け、単位を取得し卒業。吉田商で監督を2年、村上桜ケ丘で部長を7年務め、09年春に母校の部長に就任。同年秋から監督を務める。

 ◆新潟商

 1883年(明16)創立の県立校で、野球部は1901年創部。部員数49人。生徒数は1090人(女子749人)。甲子園は春1回、夏7回出場。主なOBは渡辺浩司内野手(元日本ハム)星野順治投手(元ソフトバンク)。所在地は新潟市中央区白山浦2の68の2。太田恭利校長。