<高校野球南北海道大会:函館大有斗5-1函館高専>◇29日◇函館地区Aブロック代表決定戦◇函館オーシャン

 「軟式上がりばかりでも、強豪に勝てるんだというのを証明したかったけれど…」。プレーイングマネジャーとしてチームを代表決定戦まで引っ張ってきた函館高専の芳谷侑嗣主将(3年)は、涙で震える声を振り絞った。

 今年から、監督不在の状況が続いている。代わって主将が、練習メニューを考え、作戦を練り、采配を振る。試合中も、遊撃の守備位置や塁上から、味方にサインを送った。一番つらかったのは、メンバー決定だ。「3年生をベンチから外すことが、きつかった。厳しいことばかり言ってきたけど、最後までついてきてくれた」と仲間に感謝した。

 新チーム結成から、3季連続で函館大有斗と同じブロックに入り「野球の神様が“有斗を倒せるチームだよ”と言ってくれている気がした」と運命を感じたという。1点を先行した直後は「行けるんじゃないか」と思ったが、すぐに追い付かれ、中盤に勝ち越された。「最高のチームでした。ここまで来られたことを、誇りに思います」。高専のため、卒業まで、あと2年あるが“高校野球”は、この日で終わり。「高専野球部を変えたかった」。夢を、後輩へと託した。【中島宙恵】