<高校野球北北海道大会:クラーク14-0奈井江商・月形・深川東>◇2日◇空知地区Aブロック1回戦◇滝川市営

 「おい、泣いてるのか」。創部1年目で初めての夏を迎えたクラークが初戦で奈井江商・月形・深川東連合を14-0の5回コールドで下し、公式戦初勝利を挙げた。笑顔の佐々木啓司監督(58)が涙をぬぐいながら応援席に走る、主将の立花奏夢(かなむ)左翼手(3年)に声を掛けた。立花は「最後の守備の時からこみ上げてきて、校歌を歌っているときも…」と、わき起こる喜びが涙となり、しばらく止まらなかった。

 立花は1年秋に転校してきたが、当時は大好きな野球もあきらめかけていた。そんなとき、駒大岩見沢を春8度、夏4度甲子園に導いた佐々木監督がやってきた。4月、道内通信制初の硬式野球部の初代主将となった。部員は10人。3年生は立花ただ1人で残り9人はすべて1年生だ。「性格的にキャプテンは向いていないかも。やんちゃな子もいて、まとめるのが大変でした」。春はコールド負け、厳しさを味わった。それでも練習や合宿などを重ねるうちに「奏夢さんのために」という気持ちが1年生たちに広がった。

 夏は初回、先頭打者から一気の5連打で4得点、3回も6連打で4得点。春からの成長を見せた。「野球をやってて良かった」。最後は初夏の青空に負けないくらいの、さわやかな笑みがこぼれた。【中尾猛】

 公式戦初勝利を挙げたクラークの佐々木監督

 勝てたことは選手にとって大きな経験。でも次の試合(岩見沢農と栗山の勝者)が大切なんだ。