<高校野球新潟大会:新潟明訓6-2五泉>◇20日◇3回戦◇新発田市五十公野公園

 第2シードの新潟明訓は、延長10回降雨コールドによる五泉との再試合を、最速144キロ右腕の村山賢人投手(3年)が完投で制した。4回戦では、この日、新潟工に逆転勝ちした部員17人の豊栄と対戦する。

 待ちに待った勝利だった。9回2死一塁。最後の打者を三ゴロに打ち取ると、村山は恋女房の水沢捕手に駆け寄り、ポンとグラブを合わせた。「待った影響はなかった。集中しきれた。うまくテンポがつかめなかったが、悪いなりに工夫した」。9回完投で6安打6奪三振。再試合になった18日に続き、この日も雨の影響で1時間59分開始が遅れたが、エースは動じなかった。

 背水の陣だった。18日は1点リードの7回に登板するも、直後に追いつかれた。延長11回にも連打を浴び、無死一、三塁のピンチを招いて冷や汗をかいていた。逆に、攻撃では2度のサヨナラの場面で雨が降り、「流れは向こうだった」と村山は振り返る。中止(規定により記録上は10回降雨コールド)が決まった時点で、本間健治郎監督(40)から再試合の先発を告げられていた。

 「雨による順延で逆に切り替えられた。次は任せたと言われていたので、最後まで行くつもりだった」。有言実行した。2回、ブレーキが利かないスライダーを狙われ先制点を許した。4回にも1失点。しかし、決め球のスライダーを見せ球にかえ、直球中心で組み立て直した5回以降は、1安打に抑えた。高い修正能力を見せ、2枚看板の漆原大晟投手(3年)の力を借りることなく投げきった。「自分の投球より、チームの勝ちが優先。今日は120点満点の100点です」と独特の表現で、締めくくった。

 負けられない理由がある。順当に勝ち上がると決勝で当たる、日本文理の池田貴将主将は十日町南中の同級生だ。昨秋、今春の決勝で池田率いる日本文理に連敗した。「目標は甲子園。池田も狙っている。先は見ず、目の前の敵と真剣に戦って、結果的に池田を倒せたら」。中学時代、池田が1番手投手で村山が2番手だった。ライバルに勝たずして、村山の甲子園はない。【高橋洋平】

 ◆村山賢人(むらやま・けんと)1996年(平8)12月14日、新潟県十日町市生まれ。十日町西小2年から野球を始め、小4から投手。十日町南中で県4強。新潟明訓に進学後は1年秋に背番号11でベンチ入りし、2年春から背番号1。174センチ、75キロ。右投げ右打ち。家族は両親、弟。憧れの投手はレッドソックス上原。