<全国高校野球選手権:城北5-3東海大望洋>◇16日◇2回戦

 城北(熊本)ナインが泥まみれで東海大望洋(千葉)に逆転勝ちした。8回にスクイズで同点にし、9番辻上明将内野手(3年)の左中間適時2点二塁打で勝ち越した。95年以来19年ぶりの夏1勝。末次敬典監督(63)にとって春夏4度目の挑戦で初めての甲子園白星となった。

 甲子園のために新調したユニホームが真っ黒に、泥だらけになった。途中18分間中断するほど、一時は土砂降りだった。悪コンディションの中、城北がまさに泥臭く競り勝った。

 スクイズでようやく追いついた8回、さらに2死二、三塁から辻上が外角直球を逆らわず左中間へ。「絶対に抜けろ!

 と思った」。勝ち越し2点適時打を放ち、大きく右手をあげた。チームのため、そして末期ガンで、ここ数日がヤマ場の祖母美津子さんに届ける一打だった。

 最後は背番号「1」の諸冨が締めた。8回1死二塁のピンチで登板すると強気に攻め三ゴロ、空振り三振で切り抜けた。9回も無失点。「8回に自分が抑えて、流れが変わったかな」。県大会では登板すればピンチを作ってばかりいた男が、甲子園で人が変わったような好投を見せた。足場が悪いため、左足をゆっくり着地させ正しいフォームで投げることを意識し低めに制球できた。

 ぬかるんだグラウンドはむしろ歓迎だった。末次監督は「雨の日は練習の始めにヘッドスライディングを20回連続でさせて泥だらけにさせる。汚れると『もういい』と思って子どもたちは何でもできる。私も63歳なのにさせられたんですよ」と笑う。甲子園は雨でも試合を行うため、雨の日もノックや試合形式の練習を続けてきたことが実った。辻上は「新しいユニホームは軽くて、水を吸っても軽かった」と感謝した。泥んこナインたちは「次は晴れたグラウンドでやりたい!」と天に願っていた。【石橋隆雄】