<全国高校野球選手権:三重7-5城北>◇20日◇3回戦

 雨中のゲームで初戦突破した「泥んこナイン」は、快晴の聖地でも「泥臭さ」を見せた。城北(熊本)は初回、先発安武が右足に打球を受け、2回途中で降板。2番手大西が踏ん張りきれずこの回5点を失った。4回途中からエース諸冨将士(3年)が急きょ登板。「予定より早かったけど準備はしてた」。劣勢でも力投で流れを呼び込み5回表の4得点につなげた。「笑顔で流れを変えたかった」。8回には1点差に詰め寄るなど、泥臭さを見せたが力尽きた。エースは「みんなと野球ができないと思うと悔しい」と涙した。

 甲子園への出発日、大西がぎっくり腰になった。「歩けないほど」だったため、投球練習開始は初戦の4日前。エースも春から腰痛に悩み、熊本大会は不調。投手陣に不安を抱え、急ピッチで仕上げたが、2人とも大舞台では頼もしかった。大西は「投手3人(安武、諸冨、大西)で1つなので」と胸を張った。

 初戦で決勝打を放った辻上は、祖母美津子さん(79)が末期がんで入院中。美津子さんは寝たきりのため、ベッドの上でテレビから流れる音だけを聞いていたが、辻上の打席が回ると、突然目を開けて孫の姿を追ったという。辻上の「ヒット打つから」の約束を見届けるためだった。

 ノーシードから甲子園へ。主将の山隈は「スタンドから『九州の誇り!』と聞こえてきて、涙が出ました」。涙と泥が入り交じった晴れやかな顔で、夏を終えた。【小杉舞】