<センバツ高校野球:北照5-4自由ケ丘>◇30日◇2回戦

 初出場の自由ケ丘(福岡)が8強入りを逃した。北照(北海道)に惜敗。7回には3連打などで一時は同点に追いついたが、相手のバント攻撃に揺さぶられ最終回に勝ち越しを許して力尽きた。福岡県勢8年ぶりの8強入りは果たせなかった。

 最終回2死二塁。1点差まで追い上げ、ベンチの願いが込められた代打有田のバットが空を切った。初戦で東海大相模(神奈川)を破った自由ケ丘の進撃は止まり、初陣8強の夢は消えた。

 意表を突くバント攻撃でかき回された。7回には2度のプッシュバントで3点を先制された。「プッシュバントにはびっくりしました」とマスクをかぶる中村も、内野守備陣も全く無警戒。さらに同点で迎えた最終回、2死三塁から勝ち越しを決められたのもバントだった。三塁線へ転がった打球はギリギリでフェアになった。「プッシュバントが来るかと思って前へ出られなかった」と今大会から三塁の守備についた行弘。チームのリズムが狂い、エース小野も「これ以上点をやれない」と力みで点差を広げた。

 それでも意地は見せた。相手を上回る12安打を放ち、3点を奪われた7回はすぐに3連打などで同点に追いついた。2点差で迎えた最終回は4番古賀翔、5番中村の連続二塁打で1点差まで追い上げた。「最後まであきらめなかった。いい試合をやってくれました」と末次監督は力を出し切ったナインをほめた。

 「力は出せたけど、球威が足りなかった。悔しいです」と小野は力不足を痛感。小学生の時に甲子園を見に来た小野は、東北のエースだったダルビッシュが投げるのを見て「ここで投げたい」と思った。夢は実現し2度もマウンドに立つことができた。

 初戦では優勝候補を破る金星を挙げ、2回戦で1点差の惜敗。「もっと走り込んで、スタミナをつけてコントロールを良くしたいです」と小野は春夏連続出場を誓った。大きな自信と悔しさを心に刻んで、自由ケ丘の初めての甲子園は幕を閉じた。【前田泰子】