登校中の佐賀県立佐賀商業高校の男子生徒4人が7日朝、佐賀市内のコンビニで弁当やたばこなどを万引した男を捕まえ店員に引き渡した。店員の通報で駆けつけた佐賀県警佐賀署員が男を窃盗容疑で逮捕。佐賀商は高校野球で全国制覇をしたこともある強豪校だが、生徒の中には夏の地方大会を目前に控えた野球部員もおり、大会前の「ナイスキャッチ」に同署は感謝状の贈呈を検討、野球部にもエールを送った。

 佐賀署の調べでは、男は住所不定、無職の高井純一容疑者(53)。捕まえた生徒は佐賀県立佐賀商業高校の野球部2年で投手の笠継泰成さん(17)ほか野球部の1年生1人、サッカー部の2年生2人の4人。同校野球部は94年、第76回全国高等学校野球選手権大会で優勝した名門校。7月5日に開幕した県大会もシード校で甲子園を目指し、初戦を10日に控えていた。

 笠継さんら4人は登校前に朝食のおにぎりを買うため午前7時50分ごろ、市内のコンビニに入ったが、後から入ってきた高井容疑者がカップ酒をズボンの前ポケットに入れるのを見つけ、しばらく注視していたという。高井容疑者がたばこ、弁当、パック入りの豆腐、チョコレートなど約1300円分の商品を脇の下に隠し出て行ったため、4人で追い掛け、店の駐車場で取り囲み「万引したろ」と呼び止めた。高井容疑者は「金は払った」と否定したが4人が「ずっと見ていたから間違いない」と追及すると、おとなしく「すいません」と犯行を認めたという。

 登校時間が迫っていたため、4人は高井容疑者をコンビニ店員に引き渡し、名乗らずにあわてて登校していったという。店員からの110番通報で佐賀署員が高井容疑者を逮捕したが、店員は万引に気づいていなかったため犯行を立証できず同署は佐賀商に連絡、笠継さんらが捕まえたと分かった。

 4人の行動に同校野球部の副部長は「日ごろから野球以外でもしっかりとした生活をするよう指導している。考えて行動し、けがもなくて良かった」と話し、同署は「勇気ある行動に感謝状を贈りたい。野球も頑張って欲しい」と野球での活躍にも期待を寄せた。