<高校野球茨城大会:常総学院2-0下妻二>◇19日◇4回戦

 常総学院がベスト8に進出した。21年前、同校が甲子園に初出場し準優勝した際のエース島田直也氏(38)を父に持つ島田隼斗投手(3年)が下妻二を2安打で完封した。

 9回、最後の打者は直球で一塁ゴロに仕留めた。島田は自らベースを踏むと、大きく左腕を突き上げた。今大会初登板が、2安打2四球の完封勝利となった。島田は「直球とスライダーしか投げなかった。みんなが守ってくれて投げやすかった」。第一声は守備陣への感謝だった。

 制球力が身上だ。常にストライクを先行させた。打たせて取る投球だが、大胆な攻めも見せた。9回2死で奪った6個目の三振は、スライダーを3球続けて相手の意表を突いた。こんな投球に木内幸男監督(77)も「これまでで一番の投球だったが、当たり前だと思っている。スライダーの使い方のうまさは(父親と)一緒です」と評価した。

 7回までは0-0の均衡が続いた。「味方を信じていました」。そんな島田を「木内マジック」が援護した。8回、先頭打者が2ストライクに追い込まれると突然代打を起用。代わった土肥慎(3年)がカウント2-3から右中間に三塁打し、なおも代打起用の柿沼弥臣三塁手(1年)が中犠飛して、貴重な1点を挙げた。

 この日父直也氏の姿はなかった。BCリーグの信濃に属し、試合で観戦できなかった。今後は駆けつけるという。そんな父が横浜に在籍した当時、仲良しだった打撃投手の石田文樹さんが15日に急死した。家族ぐるみのつきあいで、島田もショックを受けた。「(98年の)優勝旅行でハワイに行ったときも遊んでもらいました」。

 石田さんは木内監督のもと甲子園で優勝している。島田は「いい報告ができるよう頑張りたい」。石田さんに活躍を誓った。