<高校野球北北海道大会:白樺学園6-1旭川実>◇23日◇準決勝

 白樺学園が6-1で旭川実を下し、2年ぶり2度目の甲子園に王手をかけた。打線が11安打と爆発。3、5、7回と1点ずつ取り3-0で迎えた8回、この夏初打席になる増野裕人左翼手(3年)がとどめの3ランを放ち、試合を決めた。

 白樺学園が北北海道大会3度目の対戦で初めて旭川実を破った。8回表、日陰の男が試合を決めた。初球をたたいた増野の打球は、右翼手の頭を越え芝生席に飛び込むダメ押し3ラン。仲間の手荒い祝福を受ける背番号8の目から熱いものがしたたり落ちた。

 昨秋の練習試合では4番を打っていた男も、この夏は背番号16の丸尾にポジションを奪われ、地区から出番がなかった。7回の守備から不振の川田と交代で左翼に。そして巡ってきたこの夏の初打席で結果を出した。「打席が回ってきたらと思っていた。すごくうれしい」。言葉が弾んだ。

 練習試合では9発たたき込んでいるスラッガーも公式戦では結果が出せず、黙々と打撃マシンに向かうだけの日々が続いた。戸出直樹監督(32)は言う。「うちでも1、2を争う練習熱心な子。夜中でも朝でも、気がつけばバットを振る姿をよく見た」。だからこそナインも誰もが自分のことのように喜んだ。

 白樺学園は03年を境に守備から打撃のチームへと方向転換。今では練習の7割を打撃に充てている。打力で相手をねじ伏せる野球で勝ち続けた。だが練習試合では誰もが本塁打を放つ打線も、この夏は本番で不振。これまでの最多は地区1回戦の10安打だったが、増野が火付け役となり、11安打。豪打も戻った。

 決勝は「ヒグマ打線」と異名を取る、やはり強打の駒大岩見沢。選手ミーティングで打順を決めるチームだけに、増野は「選ばれたら」と前置きし「平常心で打ちたい」と、無心で打席に向かう。【本郷昌幸】