<全国高校野球選手権:浦添商4-3慶応>◇15日◇準々決勝

 浦添商(沖縄)が延長10回4-3で慶応(北神奈川)を破り、史上初の沖縄県勢春夏連覇にマジック2とした。延長10回1死三塁からスクイズで決勝点を奪い、11年ぶりの4強進出。

 高く上がった飛球を山城一樹捕手(3年)がミットに収めると、エース伊波とガッチリ抱き合った。11年前の先輩に並ぶ4強入りを決めた瞬間だ。沖縄県代表としても11年ぶりの準決勝進出を果たした。「すごい子たちです」。神谷嘉宗監督(53)は選手の底力に驚きの声をもらした。

 準々決勝のヒーローは脇を固めた伏兵たちだった。8回に同点に追いつき、3-3で迎えた10回。1死三塁から2番上地俊樹内野手(3年)が、カウント1-1から三塁前へ転がし勝ち越しのスクイズを決めた。この日の3犠打で大会記録となる9犠打を決めたチーム一のバントの名手は「内角の球が来ても三塁方向へ転がすつもりでした。バントには自信があります」と胸を張った。

 投のヒーローは初めて甲子園のマウンドに立った上地時正(3年)と島根博士(3年)だ。先発の上地時は3回1/3を1失点に抑えて島根にスイッチ。沖縄大会では不調でベンチにも入れなかった島根は、この夏初登板で2回2/3を無失点に抑えた。1回戦、2回戦と点差が開いても登板機会のなかった上地時は「少しイライラしていた。すごく楽しかった」と念願の初登板に大喜びだった。

 11年前のチームの主将だった上原健吾部長(29)は「前向きなところは自分たちと同じ。力は今年の方が上ですね」と後輩のプレーをたたえた。センバツVの沖縄尚学を破って甲子園に乗り込み、同県で違う学校として初の夏4強入りという偉業を果たした。【前田泰子】