<高校野球大分大会>◇18日◇2回戦

 柳ヶ浦が1-2で日田林工に敗れ、吉川さんを甲子園に連れて行く誓いを果たせず、選手たちは泣き崩れた。1点を追う9回、1死二、三塁のチャンスを迎えた。しかし、生かせなかった。最後の打者、代打の勝間直人(3年)は、ベンチ前であいさつした後も、泣き崩れて立ち上がれない。その後もロッカールームから選手のおえつがもれた。

 河崎雄大主将(3年)は「甲子園に行って、みんなで墓参りをしようと話していました。最後まで支えてくれた人たちのために戦ったのに…。すみません」と必死に声を振り絞った。14日に吉川さんの実家がある奈良県桜井市で営まれた告別式に河崎主将も参列した。「吉川のために」が合い言葉。吉川さんの遺影は、この日もスタンドで見守った。一丸となった戦いも、大きな壁に阻まれた。

 藤久保茂己監督(58)が「相手は第1シード。意識しすぎた部分もある」と振り返る。強豪相手に勝利への気負いが出てしまった。初戦(対中津北)で、5回参考ながらノーヒットノーランを記録したエース飯田将は、5回2死二塁のピンチで投球が真ん中に甘く入ってしまい、先制点を許した。守備の乱れもあった。7回1死一、二塁で、堅守の岡本一馬遊撃手(3年)が三塁へ悪送球。これが結果的に決勝点となる2点目となってしまった。

 「甲子園出場」の約束を果たせず、選手の涙はいつまでも続いた。ただ、いまだ消えない苦しみ、悲しみを抱えながら懸命に戦った結果だ。藤久保監督は「プレッシャーを乗り越え(選手は)よくやった」と言った。吉川さんの魂とともに甲子園を目指す戦いは、来年以降も続く。【菊川光一】