<高校野球岐阜大会>◇10日◇1回戦

 第92回全国高校野球選手権の岐阜大会が10日に開幕した。不祥事による対外試合禁止処分が明けた中京が開幕試合で可児工に7-0(7回コールド)で快勝。大会「1番星」を挙げ、再スタートを切った。

 中京が大会1番星で、どん底からの再スタートを飾った。初回に先頭の近藤慎晃内野手(3年)からの3連打などで襲いかかり、2点を先制。4-0の4回には近藤が左翼席に大会1号ソロを放ちリードを広げた。6回にも2点と、着々加点。プロ注目の大型左腕加藤智弘(3年)を温存しながら、2投手の継投で完封。文句なしのスタートを切った。

 不祥事を受け、5月に就任したOBの柴田秀仁監督(33)は「大会が終わってみないと新しいスタートが切れたかどうかは分かりませんが、高校野球をやれるありがたみを感じながらプレーしてくれていると思う」と、選手のひたむきな姿勢を評価した。

 3月に部員13人の喫煙が表面化し、同1日から5月31日まで対外試合禁止処分が下った。昨秋は東海大会4強にまで勝ち上がった強豪だが、13人が選手登録を外れ実質的に“退部”。中には投打の主力6人も含まれており大幅戦力ダウン。身の回りの掃除から始め、まったく違うチームとしての再出発だった。

 1度はあきらめた夏の大会だった。不祥事は仲間の喫煙を知った部員たちが自主的に学校側に届け出た。ある部員は「夏は(出場が)ダメだと思った。でもこれからの部の歴史の方が大事。自分たちは第1期生だと思っている」と決意を明かした。

 主力がごっそり抜け、現チームでこなした練習試合も20試合に満たない。ただ、戦力低下も実戦不足も言い訳にはしない。頂点への思いも変わらない。エース加藤は「今年の夏は何が何でも」と、甲子園にこだわる。新生中京が、たくましく第1歩を踏み出した。【八反誠】