<高校野球西東京大会>◇20日◇5回戦

 センバツ準優勝の日大三・山崎福也投手(3年)が今大会初登板し、兄弟校の日大二に10-0と大勝した。6回を被安打4の無失点。自慢のバットでも1安打したが、けいれんを起こすアクシデントがあって交代した。大事には至らず、連続甲子園への力投を誓った。

 西東京大会の開幕から17日目、山崎の夏がやっと幕を開けた。日大二戦の先発は、第1打者をいきなり歩かせるスタートになった。「立ち上がりはいつも上がるんです。今日も力んでしまって」と振り返ったが、直後の送りバントが投前への小飛球になったところを好捕して併殺に仕留めた。3回にもスクイズ失敗を併殺に取りリズムに乗った。被安打4、奪三振2個ながら二塁を許したのは1度だけだった。

 そんな注目左腕が、6回の攻撃で周囲をヒヤッとさせた。自慢のバットで、右前打を放った直後、一塁に走り込んだ際に両足の太もも裏、ふくらはぎがつったのだ。心配した小倉全由監督(53)は代走を送ったが、大事には至らない様子。同監督は「大丈夫です。『次も投げたい』と言っています」と胸をなで下ろした。

 山崎は連続の甲子園に向け、肉体改造に着手した。下半身の柔軟性を増そうと練習ではストレッチを多く取り入れた。その結果、股(こ)関節の可動域が広がり、投球の際の踏み込みが従来の6歩から半歩ほど広がった。「これまでより球持ちが良くなりました」。制球力がアップ。この日いきなり四球を与えたが、終わってみればわずか2四球だった。

 18日にはセンバツの決勝で敗れた興南(沖縄)が一番乗りを決めた。小倉監督からも「(興南のエース)島袋が待ってるぞ」とハッパをかけられた。「自分たちも行かなくては、という気持ちになりました」。ゆっくり始まった山崎の夏、リベンジを果たすまで終わらせるわけにはいかない。【森本隆】