<高校野球長崎大会>◇27日◇決勝

 長崎日大が4-1で海星を破り、2年連続9度目の甲子園出場を決めた。

 最後に迎えたピンチも、長崎日大のエース中村惣平(2年)に動揺はない。3点リードで2死一、二塁。打席にはプロ注目の強打者、海星の江越大賀(3年)だ。「思い切りいくことだけを考えました」。カウント2-1からファウルで4球粘られたが、最後は空振り三振。そこで精根尽きたように、飛び跳ねることもガッツポーズもなかった。

 金城孝夫監督(56)は感慨深げだった。「このチームがよくここまでというのが実感です」。昨年、甲子園出場を果たした後の新チームに金城監督は言った。「おまえらでは甲子園に行けん」。前チームに比べ、力的に劣っていることを直接的に言い放った。

 その上で「生活面で鍛えました」。朝6時起床。遅れれば朝5時30分からぞうきんがけで練習、メンバーから容赦なく外した。準決勝でサヨナラ本塁打、この日3安打の前原綾中堅手(3年)は昨秋、エースの中村も今春に強烈な罰を食らった。前原は「勝って監督を見返そうとみんなで話してました」チーム力の源を明かした。

 2点先制を含む2打席連続の三塁打を放った平田大二郎一塁手(3年)は「普段の生活が厳しいから、ピンチでも平常心でいられた」という。3回戦から3試合連続1点差勝ちで迎えた決勝。24時間、気を緩められない厳しさが、2年連続の甲子園を引き寄せた。【実藤健一】