<全国高校野球選手権:東海大相模11-7成田>◇20日◇準決勝

 夏の甲子園決勝は「島袋対一二三」の頂上対決になった。東海大相模(神奈川)一二三慎太投手(3年)は、157球を投げて14安打7失点で完投。「プロ注目打者」として打倒島袋を誓った。

 待ってろ島袋!

 炎天下で157球を投げ抜いたばかりの東海大相模・一二三は、意外なひと言をつぶやいた。興南(沖縄)との決勝に向け「バッターとして、島袋に挑戦するのが楽しみです」。プロ注目の投手だが、この日は打撃でも5打数4安打と勝利に一役買った。9-6の6回2死二塁では外角118キロのスライダーを巧みに左前へ転がし、10点目を追加した。

 ここまで4戦で、1本塁打を含む18打数11安打5打点。打率は6割1分に達する。広島が野手としてドラフト候補にリストアップするなど、打撃センスはプロの間でも評価が高い。

 一方で、本職ではお疲れ気味だ。3連続完投。19日の準々決勝と合わせて2日で310球を投げていた。軸足も折れて9四死球。最速150キロの直球は142キロ止まりで、3回は一気に5失点。4回には成田・高橋に甘い直球をバックスクリーンへ放り込まれた。「センバツだったらあれで完全に崩れてたけど、あの一発で目が覚めた」。14安打されたが、全員19安打の打線に援護され、3併殺するなど踏ん張った。

 神奈川県大会直前、メンバーは同じバリカンで髪を刈り上げた。一二三はこの日5打点を挙げて女房役、大城卓と刈り合った。気合の丸刈りで一丸となり、激戦神奈川を制覇。悲願まで、あと1勝とした。両軍整列で一二三は、成田のエース中川に「全国制覇しろよ」と声を掛けられ「分かった」と答えた。全力で春の王者興南に挑む。【鎌田良美】