60試合の短縮シーズンが始まってから約2週間が過ぎたが、マーリンズとカージナルスで新型コロナウイルスの集団感染が発生し、コロナ禍でのシーズン運営の難しさが露呈している。マーリンズの集団感染では、感染者が出ていることを伏せて開幕3連戦を戦っていたとも伝えられており、対戦相手のフィリーズはその後約1週間試合ができなくなるなど多大な影響を受けた。

そのため選手からは怒りやいら立ちの声も上がっている。フィリーズのベテラン外野手のアンドルー・マカチェン外野手(33)は「コロナに関しては、何もかもに腹が立っている。一番納得がいかないのは、この集団感染の代償を支払うのが僕らのチームだということだ。僕らは感染防止のガイドラインを厳格に守っていた。それが重要だと分かっていたからだ。間違ったことは何もしていないのに、なぜ代償を払わなければならないのか」と激怒。カブスのスティーブン・ソーサ外野手(31)は「MLBはこのコロナ禍が起きた最初から適切な対応ができていない。マンフレッド・コミッショナーが球界にしてきたことは、あまり褒められたものではないと思う。この現状には困惑している」と批判した。

しかし、こうした混乱や球界内の声に迅速に反応し、素早く対策を講じ柔軟にルールを変更できるのが、MLBの優れた点だ。新型コロナウイルスによる試合中止が続出し、タイトな日程の中でダブルヘッダーが特定の球団に集中することになったため、負担軽減のためまずダブルヘッダーを7回制に変更することを速攻で決定。感染防止ルールを厳格化することも選手会と協議し即合意した。今季開催を巡ってもめ続け、開幕が大幅に遅れる一因にもなったあのMLBと選手会とは思えない手際の良さだった。

感染防止の新ルールには

<1>フィールドにいる以外は球場内でも常にマスク着用

<2>遠征人数を減らしごく基本的なスタッフのみ帯同

<3>ホテルの部屋で1人になる時以外は常時マスク着用

<4>食事中の会話、対面での食事は控える

<5>バー、ラウンジ、モールなど人が集まる場所への出入り禁止

<6>飛行機移動の際は1列に2人までの着席制限とN95などの高性能医療用マスク着用、

など選手らの行為、行動が詳細に規制されている。

ここまでマーリンズでは開幕から2週間の出場登録選手30人中半分以上、カージナルスでは3分の1以上が集団感染によって離脱しているが、それでもシーズンは続行している。厳格化された感染防止ルールで、今後はここまでひどいクラスターが発生する可能性が薄いだろう。とすれば、難しい運営が強いられる波乱のシーズンも、9月27日の最終戦まで何とか完走することができるのではないだろうか。