セ・リーグのDH制導入について日本プロ野球で話題になっているが、MLBでも同じような議論があり、ナ・リーグで来季導入が継続されるか、はっきりしないまま年を越しそうだ。
MLBでは、ア・リーグのみDHの体制が47年続いてきたが、今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンが短縮され、短期間でタイトな日程をこなさなければならない投手の負担を減らすため、ナ・リーグで初めてDH制が導入された。それを来季も継続する可能性もあるが、この原稿を書いている時点(12月27日)で大リーグ機構は正式に発表していないため、決定の遅さに球界から批判の声が上がっている。
ナ・リーグのDHに関しては数年前から導入が検討されながら、反対意見も多く、なかなか実現に至らなかった。コロナ禍がなければ、今季も実現はしていなかったはずだ。打つことが好きな投手、代打やダブルスイッチを多用するナ・リーグ的試合展開が好きな監督らが、導入に反対している。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督も、ロッキーズのバド・ブラック監督も、昨季まではDH導入には反対の立場だったと話していた。
だが今季、実際にDH制を経験し、考えを変えた監督は多いという。米ヤフースポーツのティム・ブラウン記者が先日、MLBの監督20人に今季導入した新ルールに関してアンケートを取り記事にしていたが、それによると、今は9割以上の監督がナ・リーグのDH制導入に賛成している。前出のロバーツ監督は「投手が打つという古いルールに強くこだわってきたが、DH制もいいと思うようになった」と話し、ブラック監督は「ナ・リーグにDH制を導入するのは反対だったが、気が変わった。球速や変化球の質が上がっている昨今、打撃でチームに貢献できる投手は一握りしかいない。その中でDHなしの体制を続けるのはどうか」と意見していた。ドジャースのアンドルー・フリードマン編成本部長が「先発投手とDHをセットにし、先発が降板すると同時にDHが消滅するルールにしてはどうか」と提案するなど、DH制を採用しながら伝統的なナ・リーグの試合展開も残せる折衷案も出ている。
こうしてナ・リーグのDH制導入が受け入れられつつあるにもかかわらず、来季継続か否かが決まらないのは、オーナー側の思惑が影響しているようだ。DH制に難色を示しているオーナーはまだおり、DH制継続ならその交換条件としてプレーオフ拡大を要求、それに選手会が反発しているとも伝えられている。そんな内情もあって大リーグ機構は来季のナ・リーグDH制継続を正式に決められないまま。来季はすんなりとシーズンを迎えてほしいところだが、どうなるだろう。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)




