「ショーヘイだけではなく、トラウトも日本人から人気があるわよ」。エンゼルスタジアムのグッズショップの女性店員が目を丸くして言った。二刀流で注目を集めたエンゼルス大谷翔平投手(24)のメジャー1年目、多くの日本人が試合観戦に訪れた。同店員によれば、マイク・トラウト外野手(27)のTシャツやグッズを購入する日本人ファンの姿も多かったという。

7年連続のオールスター出場や2度のMVP獲得など、メジャーでトップレベルのスター選手。大谷も22日の会見でトラウトについて「(野球の)技術も人間性も、本当に素晴らしい」とリスペクトする。試合では、ファインプレーをしても派手なガッツポーズはあまり見せない。クールな印象だが、クラブハウスでは大好きなアメリカンフットボールやゴルフの話題に子どものように大騒ぎしたり、日本人記者の前で豪快におならをしたり、おちゃめな一面も多く見られた。

実際に、トラウトの紳士としての一面を肌で感じたことがある。今年、ワシントンDCで開催されたオールスター戦の試合前。出場選手が家族を伴ってレッドカーペットを歩くイベントに、トラウトは夫人とともに現れた。記者は、4~5メートル離れた所から手を振って「Hi,Mike!」とあいさつをした。すると、笑顔でこちらに近寄り「ヘイ、元気?」と握手を求めてきた。周辺に多くの人が集まる中、返事をしてくれるかどうかも半信半疑だったが、さわやかに握手までしてくれ、正直、驚いた。握った手には力強さを感じた。

トラウト人気が日本人の間にも広まっているのは、「大谷効果」も少なからずあるはずだ。だが、野球での結果はもちろん、トラウトの見せる姿や行動に、人は心を動かされるのだろう。今季は打率3割1分2厘、39本塁打、79打点と右の強打者として打線をけん引した。来季は、左打者の大谷と左右の長距離砲にかかる期待も大きい。加えて、トラウトの人間性にも、もっともっと注目してみたい。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)