7月31日のトレード期限が終了し、メジャーのペナント争いも、いよいよ終盤戦に入りました。ポストシーズンを目指す上位球団は積極的な補強を進めましたが、2009年以来9年ぶりの世界一を目指す盟主ヤンキースも、着々と戦力を整備しました。同地区のライバルでもあるオリオールズから16年に47セーブを挙げた救援左腕ザック・ブリトン、ブルージェイズからは16年に自己最多の20勝をマークした先発左腕JA・ハップ、さらにツインズから通算79勝のランス・リンを獲得するなど、投手陣に厚みを加えました。

 というのも、メジャー最多の世界一27回のヤンキースも、近年は過渡期を迎えていました。「コア4(核となる4人)」と呼ばれたジーター、リベラ、ポサダ、ペティットらが次々と引退したほか、A・ロドリゲス、テシェイラらスター選手もユニホームを脱ぐなど、組織全体として世代交代を進めてきました。実際、過去数年間でジャッジ、サンチェスら生え抜きの若手野手が主力として成長。着実にチーム力をアップさせてきました。もっとも、昨年はワイルドカードから勝ち上がったものの、リーグ優勝決定シリーズではアストロズに第7戦で惜敗。あと1歩でワールドシリーズ進出を逃しました。

 だからこそ、今季は本気で頂点を目指しています。オフ期間に、昨季ナ・リーグの2冠王でMVPのスタントンをマーリンズから獲得し、破壊力は盤石になりました。あとは、短期決戦の行方を左右する投手力、ということで、今夏の補強を進めたわけです。

 キャッシュマンGMは「短期間でベストとなる効果を目指した」とトレードの狙いを解説。現場を預かるブーン監督も「フロント陣はすばらしい仕事をしてくれた。今年を特別なシーズンにできるチャンスが出てきた」。と、駒が豊富になったことで、かなりの手応えを感じ取っています。

 7月終了時で、ヤンキースは首位レッドソックスに次ぐ地区2位、ワイルドカード争いでは先頭を走っており、ポストシーズン進出が有力視されています。

 コミュニケーション不足など選手との間にかなり深い溝があったジラルディ前監督と違い、45歳と若いブーン監督は「兄貴分」として良好な関係を保っているようで、今のところチームワークも心配なさそうです。

 宿敵レッドソックス、さらに昨季世界一のアストロズを退けてWSの舞台に戻れるのか-。

 メジャー5年目の田中将大にとっても初舞台となるだけに、今後は、しびれるような熱い戦いが続きそうです。