新型コロナウイルスの影響で、米国から野球だけでなく、ほぼすべてのスポーツイベントが消えて、2週間近くが経過しました。MLBがオープン戦の中止、開幕戦の延期を決めたことで、それまで渋滞だらけでにぎやかだったキャンプ地アリゾナも閑散としています。カブス、ヤンキースなど一部の球団は、個人練習用として、時間限定で練習施設を使用できるようにしていますが、多くの球団が完全に閉鎖しました。

本来であれば、26日(日本時間27日)の開幕日に備え、大型のスーツケースに荷物を詰め込み、いつ自宅に戻れるか不明の長期出張が始まっているはずでした。メジャーデビュー戦となるレイズ筒香、レッズ秋山、もしくは開幕投手の最有力候補に挙げられていたカブスのダルビッシュか。その後は、ヤンキース田中へ…。同日開催だったこともあり、取材先を決めるのに頭を悩ませていたはずでした。ところが現在は、飛行機のチケット、宿泊先、レンタカーの予約など煩雑な手配をする必要もなく、最低限の所用を除けば外出を控える毎日。四苦八苦しながらようやく完成したばかりの「日本人メジャーの今季日程表」を、パソコンから消去すべきか、迷っている状態です。

その一方で、選手たちは黙々と体を動かしています。

ダルビッシュはアリゾナ州メサのキャンプ施設で無人のブルペンに立ち、シャドーピッチングをしたり、1球投げては自分でボールを拾いに行くなど、地道な練習を繰り返しています。同州に自宅のあるマリナーズの平野佳寿、菊池雄星は、人影もまばらな近隣の公園でキャッチボールを行うなど、それぞれに工夫を凝らしています。

プロフェッショナルである以上、選手が自己管理をするのは当然なのかもしれませんが、先行きが不透明な中でモチベーションを維持することは簡単ではないはずです。

「より良くなる期間だと思って、そう捉えなきゃいけないなと思います」

自主トレを再開した菊池の言葉は、ふさぎ込みがちな空気が漂う今、すべての人間に必要な考え方ではないでしょうか。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)