依然として終息する気配の見えないコロナ禍の下、メジャーでは当初の予定通り、オープン戦が実施されています。アリゾナ、フロリダ州とも、人数限定ながら約1年ぶりに有観客となり、球場内は少しずつ活気を取り戻し始めています。

その一方で、少しでもリスクを軽減するために、今オープン戦では特別ルールを取り入れています。

というのも、各球団ともキャンプへの参加人数を抑えるため、今季は例年よりも招待選手の人数を絞りました。それでも、試合数は例年通りとなれば、必然的に選手の負担は増すことになります。特に投手の場合、この時期は徐々に球数を増やしながら調整するため、必要以上に投げ過ぎると、故障のリスクが高まる可能性も捨てきれません。

そのため、今オープン戦は各試合のイニング数を自由に選択できるようにしています。事前に両球団の首脳陣が意見交換を行い、6~9イニングの間で随時、変更しながら試合を進めています。

また、イニングの途中で打ち切り可能という、大胆なルールも採用されています。レンジャーズ有原が、2日(日本時間3日)のホワイトソックス戦でデビューした際には、1回2死一塁の状況でチェンジとなりました。それまでに26球を投げており、1イニングで30球以上投げさせたくないという、レンジャーズ首脳陣の方針があったためでした。続く2回は、2死満塁で打ち切りとなりました。有原の投球数が、予定の40球を超え、41球に達したためです。ホワイトソックスの本拠地試合だったこともあり、ファンからはブーイングが起こりましたが、そんなことはまったくお構いなしに、その後も試合は淡々と進行し、6回であっさり終了しました。

規則に厳格な日本球界では考えられない特別措置ですが、メジャーのオープン戦は対外試合といえども、あくまでもキャンプの一部です。勝敗や記録はあくまでも参考であり、すべては公式戦のための準備と割り切っているわけです。

ちなみに、有原は2イニングとも2アウトで打ち切られたため、実際には4アウトしか取っておらず、正確には「1回1/3」となるはずですが、記録は「2回」として残っています。

オープン戦を合理的に実施することにまったく異論はありません。ただ、肝心のコロナ対策だけは、おおらか、合理的ではなく、可能な限り厳密に実施してほしいものです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)