昨年71年ぶりにワールドシリーズに進出し、1908年以来となる優勝を果たしたカブス。そのセオ・エプスタイン球団社長が先月、母校であるイエール大学の卒業式で卒業生達に行った講演で、ワールドシリーズ第7戦でシリーズを制する要因となったとされる雨天中断中の選手によるミーティングについて語り、関心を呼んでいる。

 このミーティングはカブスが一時は6対3までリードを広げたものの、8回裏に投入したカブスの守護神アロルディス・チャップマン投手がまさかの連打を浴び、再び同点とされ、延長となった際、雨により17分間の中断となった時に行われた。

 エプスタインはその様子をこう語っている。「それは普通ではない光景でした。我々はあまりミーティングをしなかったし、試合中に行ったことはありませんでした。私がドアに近づくと、同点本塁打を浴びたアロルディス・チャップマン投手が泣いているのが見えました。私はそこでいくつかの会話を聞きました。捕手のデイビッド・ロスがチャップマンを抱きしめ『俺たちは君無しではここに居られなかった』と話しました。『俺たちは君のためにこれを勝つつもりだ。俺たちはお互いのためにこれを勝つつもりだ』と」その後多くの選手が集まり、励まし合い、雄たけびを上げたということである。

 こう聞くとロッカールームでよくある励まし合いのように思えるが、エプスタインは全く異なると続けている。「雨の中断の間選手たちは普通フィールドを出て、ロッカールームに向かいます。彼らはそれぞれそこに座ります。ぬれたジャージーを着替えます。電話をチェックします。試合中に良くなったことと悪くなったことを考えます。彼らは自分自身の小さな世界に没頭してしまうのです」

 それが今回は自発的に起こったミーティングによって選手たちの思考がより良い方向に転換することができたというのだ。

 そしてエプスタインはこう締めくくっている。「あなたが望んでいた全てが、あなたが働いた全てが、あなたが得た全てが、あなたが値すると感じた全てが、個人的で不当な仕打ちなようなことで取り上げられてしまうことがあります。そうしたことが起こったとき、そして起こりそうなとき、あなたはロッカーで一人でうつむき、嘆き、非難しますか? それともチームメートと肩を組み、つながって、頭を上げ、励まし合いますか?」

 卒業生にとっては最高のエールになったかもしれない。