アメリカでは現地24日、今年の野球殿堂入りの投票結果が発表される。そのため、候補者と結果予想についての報道が目立つようになった。日本人としては今回の投票に特に注目したい点がある。元ヤンキースの松井秀喜氏が初めて候補者となっていることだ。ただ結果は厳しそうである。

 殿堂は独立した組織だが、選考については全米野球記者協会が委託されている。まず対象となるのはMLBで10年以上プレーし、引退後5年以上経過した元選手だ。適性審査委員会が予備審査をし、候補者を選ぶ。今回は33人が選ばれた。その後同協会に10年以上所属している記者が殿堂入りを推す最大10人の名前を書いて投票する形式だ。その上で得票率75%以上の候補者が晴れて殿堂入りとなるのである。

 では75%以上の記者が松井の名前を記入してくれるか。気になるのが他の候補者の顔ぶれである。史上最多の762本塁打を放った元ジャイアンツのバリー・ボンズ氏や4672奪三振を挙げている元ヤンキースのロジャー・クレメンス氏はいずれも殿堂入りに十分な記録を残していながら薬物疑惑のため、過去5年間殿堂入りできていない。ただ両氏とも昨年50%を超える得票率を得ている。今年も多くの票を得るのは確実だ。さらに松井と同じ初めて候補者入りした元選手には、ブレーブスで活躍したチッパー・ジョーンズ氏や楽天でもプレーしたアンドリュー・ジョーンズ氏などがいる。特にジョーンズ氏は選ばれる可能性は高そうだ。

 それに対して松井はどうか。MLBでの1253安打、175本塁打という数字だけを見ると正直殿堂入りできるものではない。ただ日米通算では打率2割9分3厘、507本塁打、打点と得点はいずれも1500以上十分といえるものになる。しかし投票する記者が日本での数字を考慮することはほぼないのだ。そのため他の候補者も考慮すると、松井の名前が書かれる可能性は少ないだろうというのがもっぱらの見方である。

 それどころか、来年の候補者に残るために必要とされる5%の得票を得ることさえ、難しいかもしれない。それほどに殿堂入りはハードルが高いのだ。

 むしろそうしたMLBでの成績でありながら、候補者に選ばれたことを注目すべきだろう。ヤンキースというチームで140本塁打を放ち、2009年のワールドシーリーズでMVPを受賞した松井の活躍は記者たちにそれほどの印象を残しているということなのだから。