MLBはこれまで独立して運営されてきたマイナーリーグ(MiLB)を完全に傘下に収め、これまで所属していた160チームを120チームに削減する大胆な改革を実行中だ。独立リーグの成功チームとして知られるセントポール・セインツがツインズの3Aに加入するなど新たに加わるチームもあるが、当然ながら外されるチームもある。外されればMLBから選手の派遣を受けることもできなくなるだけでなく、MLB傘下ということをPRすることもできずビジネスモデルを変更せざるを得ない。存続の危機に陥るチームが出ることになるのは明白だった。そして今月、外されたチームが訴訟を起こす事態となった。スタテンアイランド・ヤンキース(SIヤンキース)がニューヨーク・ヤンキースとMLBを相手に事業閉鎖を余儀なくされたとして訴えたのである。
SIヤンキースは1999年以降ヤンキースの傘下となり、シングルAショートシーズンNYペン・リーグに所属してきた。スタテン島はマンハッタンのすぐ南にあり、本拠地リッチモンド・カウンティバンク・ボールパークからはマンハッタンの摩天楼やハドソン川を行き交う船を背景に観戦できるという絶好の立地を誇る。これまでメジャーデビュー前のロビンソン・カノー、メルキー・カブレラ、ブレット・ガードナーがプレーした実績もあり、ヤンキース所属選手が訪問してプロモーションを行うことも多かった。気軽に観戦できるヤンキースとして地元人気も高かったのである。それが一転、事業を継続できなくなるというのだ。
12月3日、今回の訴訟についてSIヤンキースはSNSで「ヤンキースのファームシステムとは全く関係のない選手を使った質の低いチームをスタテンアイランドに押し付けることになるでしょう。さらに、選手、コーチ、スタッフの給与を含む追加費用が必要になります。残念ながら、その追加費用と、私たちが共有する街でのヤンキースとのつながりを失うことは、スタテンアイランド・ヤンキースがこのビジネスモデルを追求することを不可能にしています」とし、「したがって、大変遺憾ながら、私たちは事業を停止しなければなりません。本日、ニューヨーク・ヤンキースとメジャーリーグを相手に、虚偽の約束の責任を問う訴訟を起こしました」と発表したのである。
その上で、事業継続を望むわけではなく、和解金などが受けられた場合は地元チャリティー団体などに寄付するとし、「スタテン島のファンと地域社会の皆様、長年にわたりチームと従業員の皆様をサポートしてくださったことに心から感謝いたします」と述べている。
たしかにMiLB改革はMLBにとって必要だとは感じるが、同時にこうした痛みも伴うのだということが実感させられた一件となった。筆者もSIヤンキースを何度も取材したことがあるだけに残念な気持ちでいっぱいだ。




