エンゼルス大谷翔平投手(26)が、4回の投球終了時に、この試合2回目の粘着物質の使用チェックを受けた。

1死からの安打と自らの暴投で2死二塁のピンチを背負ったが、8番デュボンをカウント2-2から96・6マイル(約155・4キロ)で空振り三振。ピンチを切り抜けてマウンドを降りた後、審判団から帽子、グラブなどのチェックを受けた。笑顔を見せながら対応し、2回終了後と同じく、何事もなくベンチへ戻った。

2回は1死から中前打で1死一塁としたが、後続を連続三振。その後にチェックを受けていた。

MLBは、21日から試合中の先発、救援の全投手に対するチェックをスタート。違反者の罰則適用も厳格化することで、粘着性の強い「スパイダータック」など新物質の横行に歯止めをかけたい方針だ。

◆「スパイダータック」 粘着物質の中で特に問題視されているのが、「スパイダータック」という強力な滑り止め。本来は重量挙げなど筋力系種目の選手が、グリップ力を強化するために使用してきた。ロジンをベースに高分子化合物を調合したものだそうだが、粘着性は強力な接着剤並みだ。製品名の直訳は「クモのねばねば」。粘着性のある糸で虫を捕獲するクモのごとく、手に塗ってボールを持つと、パーの形で手のひらを下に向けても落ちない。これで球を投げると、日焼け止めオイルを混ぜた滑り止めよりも回転数が25%上昇するという。ワシントン州立大学のロイド・V・スミス教授の実験によると、回転数が10%増加すると変化量は約1・9センチ増大したという。

◆取り締まり手順 先発、救援投手ともイニングが始まる前に、異物の付着がないかチェックされる。また、イニングをまたいで複数回確認される。イニング中にも疑わしい行為があれば、その打者との対戦後に確認を受ける。打席中の確認はしない。登板前の確認事項としてはグラブ、帽子、ベルト。怪しいと思えば、ユニホームも確認対象となる。違反者には退場処分と、10試合の出場停止処分が科される。