エンゼルス大谷翔平投手(28)が、日本人メジャー選手で節目の通算1000盗塁を飾った。

「2番DH」で出場したカブス戦の5回、3番トラウトの打席で二盗に成功し、大台に到達。さらに三盗を決め、今季3度目の1イニング2盗塁。00年吉井理人(現ロッテ監督)のメジャー初盗塁から、足かけ24年のメモリアルスチールになった。この日は4打数1安打でチームは3連勝。カブス鈴木誠也外野手(28)は「4番右翼」で4打数無安打に終わった。

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大谷が鮮やかに決めた。5回2死、四球で出塁。3番トラウトの打席の初球、迷わずスタートを切った。スピーディーなスライディングで二盗に成功。00年の初盗塁から24年、日本人メジャー通算1000盗塁の節目を華麗に飾った。これで終わらない。4球目、三塁へ走った。今季既に3度目の1イニング2盗塁。メジャー全体でもトップクラスの快足は健在だった。

相手のスキを突いた。投球モーションが大きいカ軍の右腕タイヨンはほぼ無警戒。捕手のアマヤは二盗、三盗とも、投げようとすらしなかった。打者を打ち取ることに集中すればいい状況とはいえ、トラウトは俊足。内野安打の可能性も高い。結果的に三振で得点には結びつかなかったが、2死三塁を作った大谷の状況判断が光った。ネビン監督から「彼はスマート(賢い)」と称され、チーム首脳陣からも高く評価される野球IQ。時に走塁ミスもあるが、常に次の塁を狙う積極性が強みでもある。

他球団の選手や監督が目を丸くするのは、長打力や奪三振能力だけではない。今年4月、大谷の印象についてヤンキースのブーン監督は「あまり話題にならないが、彼は最も速い選手の1人。スペシャルな才能」と称賛した。18年に三塁コーチを務めていたディノ・イブル氏(現ドジャース三塁コーチ)も「メジャーレベル+(プラス)の走力。非常に速い」と絶賛していた。唯一無二のプレーヤーたるゆえんは、屈指のスピードにもある。

この日は1回の第1打席で、打球速度109・4マイル(約176キロ)の強烈な中越え二塁打を放った。4打数1安打で4戦連続安打をマークし、2盗塁。攻守で好プレーが目立ったチームは3連勝を飾り、ネビン監督は「クリーンゲーム」と、そつのない野球に目を細めた。カブス鈴木との同学年対決となった今シリーズ2戦目は、大谷が足でも勝った。【斎藤庸裕】